武雄市の文化財
もくぞうしゃかにょらいざぞう 1躯:県重要文化財・彫刻
木造釈迦如来坐像 指定年月日 昭和60年3月20日
所在地 武雄町富岡 広福護国禅寺

木造釈迦如来坐像  広福護国禅寺は、仁治3年(1242)に第8代武雄領主後藤直明の発願により、円爾弁円(聖一国師)が京都南禅寺を本山として開山した、臨済宗の寺です。護国禅寺と呼ばれるのは、元寇の弘安の役の時、後宇多天皇から敵国降伏祈祷の勅額を賜ったことに由来しています。
 本像は釈迦堂に安置され、右手を胸前に挙げて施無畏を示し、左手を膝上に差伸べて与願を示す釈迦如来像で、左足を上に結跏趺坐(あぐらのような座り方)しています。像高は90.4cmで、檜材による寄木造りであり、内刳りを施し、目に水晶をはめ込んで玉眼としています。表面には、後から補われたものですが、麻布を貼り、砥の粉で下地を整え、漆で金箔を貼っています。
 頭部や胸、腹は充分な厚みがあり、肩はゆったりと広く、胸や腹に適度の膨らみをもたせ、膝の張りや厚みも充分であり、鎌倉時代の仏像として優れた体躯をもっています。一方、柔和でふくよかな顔、低くなだらかな肉髻(頭頂の隆起)や緩やかな曲線を描いた髪の生え際には、鎌倉時代以降目立つようになる仏像の人間化が認められます。衣の表現はやや厚めで、胸前をU字状に開け、襞は丁寧につけられています。
 このような特徴をもつ本像は、仏の厳しさと人間味が同居しており、鎌倉時代後期の作例と考えられています。




武雄市教育委員会 文化・学習課文化財係