武雄市の文化財
ひがしみやすそいせきかめかんぼしゅつどいぶつ 1括:県重要文化財(考古資料)
東宮裾遺跡甕棺墓出土遺物 指定年月日 平成元年3月27日
所在地 佐賀市城内1-15-23 佐賀県立博物館

 東宮裾遺跡は、北方町大崎の谷水田に位置する弥生時代中期から後期にかけての墓地を主体とする遺跡です。昭和37年の耕地整理に際して、豊富な副葬品を持つ甕棺墓が発見されました。出土品には、巴形銅器数点をはじめ、貨泉(中国王莽の新時代の貨幣)と推測される銅銭5〜8枚、碧玉製管玉、鉄剣(銅剣か?)があったと伝えられていますが、現存するのは巴形銅器3点だけです。その後、昭和44年にこの付近が再度調査され、この甕棺墓が石蓋式の甕棺で凡そ45度の角度で埋納されたもので、甕の形式から弥生時代後期前半(紀元2世紀)に属することがわかりました。
 現存する巴形銅器は、いずれも他に例をみない特異な形をしています。1点は右回りの5脚ですが、中央の座の部分が扁平であり、残りの2点は6脚のヒトデ形をし、座は扁平となっています。巴形銅器は、弥生時代後期から古墳時代前期にかけて出土する特殊な青銅器で、元々は南海産のスイジ貝を祖形として発達し、盾や靭などの飾り金具として使用されたと推測されています。県内では唐津市の桜馬場遺跡などで出土しており、吉野ヶ里遺跡からは鋳型が発見されています。本品は、その発生期の特異な部類に属しており、当時の武雄・杵島地域の政治的・社会的動向を考える上で貴重な資料です。



東宮裾遺跡甕棺墓出土遺物

武雄市教育委員会 文化・学習課文化財係