武雄市の文化財
えんのうじあーちがたいしもん 1基:武雄市重要文化財(建造物)
円応寺アーチ型石門 指定年月日 平成5年4月30日
所在地 武雄町大字富岡 円応寺

 円応寺は十一面観音菩薩を本尊とする曹洞宗の寺で、永正16年(1519)に第18代武雄領主後藤純明を開基、了然禅師によって開山された武雄鍋島家の菩提寺です。
 本寺の参道に石畳が敷かれたのは、文化年間(1804〜1818)のことですが、その参道の第2の門として文化14年に建立されたのが、この中国風の石門です。屋根は切妻型で、両脇に石塀がついています。門の幅は4.846m、奥行き0.97m、高さ4.17m、アーチ開口部幅2.42m、開口部の高さ3.24mで、門の裏側に刻銘があり、文化14年に大串儀左衛門が施主で鳥屋弥兵衛・永石安兵衛などの石工によって造られたことがわかります。
 この門には逸話があり、円応寺25世梅信和尚が、石畳の寄進者大串儀左衛門に石門の建立を所望した際、儀左衛門は一言のもとに承諾したので「一諾の門」とも呼ばれています。また、正面のアーチ上部に「西海禅林」の額がありますが、これは第28代武雄領主鍋島茂義が15・16歳頃の筆になるもので、筑前の使者に「拙い書」と指摘され、以後、茂義は書画に励み、大変上達したと伝えられています。
 アーチ型石門は、長崎市の妙相寺や菩提寺・観音寺などにみられますが、円応寺ほど整ったものは他にあまり見当たらず、建立年代がはっきりしていることと併せて、石造建築史上貴重です。



円応寺アーチ型石門

武雄市教育委員会 文化・学習課文化財係