武雄市の文化財
もくぞうごずてんのうざぞう 武雄市重要文化財・彫刻
木造牛頭天王坐像 指定年月日 平成16年4月30日
所在地 武雄町大字武雄5304-1 武雄市図書館・歴史資料館

 牛頭天王は、祗園系統の神社に祀られている疫神です。
 本牛頭天王像は、楠の一木造りで、頭上に牛形をつけ、天冠台を着し、体部は上半身裸体で、条帛をつけ、下半身は裳をつけています。手は多臂で、六臂のようです。第3手は両手を右ひざに重ねて膝頭をおさえ、その下に鬼形の獣を抑えています。顔面は左半分が焼けていますが、右半分の状況から忿怒の相と考えられます。平安時代後期の作で、像高56.5cm、最大幅35.5cm、厚さ18.8cmの大きさです。
 また、本像とともに納められていたものに、牛頭天王像・男神像・女神像・如来像の8躯があります。すべて楠の一木造りで、室町時代から江戸時代にかけての作と考えられます。
 素鵞神社はもとスサ神社といわれ、祭神はスサノオノミコトです。武雄領主2代の資茂が塚崎に赴任する際、京都の祇園社と比叡山の日吉神社の分霊を鎧の両袖に入れ、塚崎では東にあたる岩富名(小楠)のスサ神社に祇園社の分霊を祀り、祗園林と名付けたと伝えられており、資茂の存在を考える上で重要な資料です。
 木造牛頭天王坐像は仏教美術でも数少ない牛頭天王像の一つであり、京都や奈良の神社仏閣にある彫像や画像をみても本像のような密教的天部形の例はなく、国内の牛頭天王の図像を考察する上でも貴重な資料です。また、一緒に納められていた木造神像等8躯についても、市内の彫像文化や信仰史を考える上で貴重な資料です。



木造牛頭天王坐像

武雄市教育委員会 文化・学習課文化財係