本図は高さ4m、幅4.5mの南に面した砂岩の断層面に刻字されている。十三仏の種子の彫りは丁寧で、1尊ずつ月輪(円光)で囲み、3段に並べられています。上段にタラーク(虚空蔵菩薩)、中段にバン(大日如来)とウーン(阿しゅく如来)、下段にマン(文殊菩薩)、バイ(薬師如来)、ユ(弥勒菩薩)、アン(普賢菩薩)、カ(地蔵菩薩)、サク(勢至菩薩)、キリーク(阿弥陀如来)、サ(聖観音)、バク(釈迦如来)、カーン(不動明王)の配置となっています。

 その特徴としては、下段のキリーク(阿弥陀如来)には蓮台を配置して、その隣にサ(観世音菩薩)とサク(勢至菩薩)を配置して阿弥陀三尊の形式を整えており、一般的な配列とは異なった配列をなしており、九品浄土への往生を願っての信仰を窺わせていることです。

 室町時代後期の16世紀の所産と考えられます。

 十三仏信仰は、日本独自の民間信仰で、死後7日ごとの法要並びに年忌法要に際して本尊とされる仏にお参りすることで功徳を得るとするものです。その表現方法には主尊を種子で表すものと、像容で表すものの二通りがあり、像容の石造十三仏板碑とともに十三仏信仰の諸様を探る資料であり、市内の彫像文化・信仰史を考える上で重要です。

大副の磨崖十三仏種子1

大副の磨崖十三仏種子2

大副の磨崖十三仏種子3