この柱根は昭和38年の発掘調査で、おつぼ山神籠石の第1水門前面から出土したものです。平成10年度から3年かけてPEG(ポリエチレングリコール)による保存処理を行い、その際に樹種鑑定を行った結果、3本ともにイスノキであることが判明しています。

柱根は3本ともに先端が尖っており、発掘調査時には、検出された柱穴(方約1m)は深さ0.8mほど掘った後、1mほど打ち込んだ状況で発見されています。柱と柱の間隔はおよそ3m(唐尺の10尺に相当)で、柱は約10度列石側に傾斜しており、水門石積みの傾斜と一致していることが報告書に記載されています。

おつぼ山神籠石は、神籠石が古代山城であることが最初に確認された遺跡です。この3本の柱根は、城壁の建築に使われたものと思われ、おつぼ山神籠石に直接関連する時代の遺物としてこれまで唯一確認されているものであり、神籠石が古代山城であると確定させた資料の一つとして貴重です。

おつぼ山神籠石出土柱根