武雄鍋島家旧蔵の資料で、『肥前一国絵図』が長辺469cm、短辺415cm、『五嶋図』は長辺355cm、短辺261cmと大変大きなものです。これらの絵図などは正保元年(1644)に、幕府が諸大名に命じ、佐賀藩が提出した国絵図(一般に「正保国絵図」と呼ばれる)・郷帳の「写し」です。

 箱の裏書に拠れば、国絵図は天明3年(1783)の製作です。絵図には郡単位・村単位の石高、宿場、主要河川の川幅や水深などが詳細に記入されています。

 『肥前一国道則帳』は、正保国絵図と一緒に提出された、「諸国海陸之道筋乃古城等之書付」の写しで、肥前国内の主要街道、城下町、中心集落間の距離、海路、港について書かれています。また途中の古城に関する記述もあります。慶安2年(1649)の製作です。

 この資料は残存数の少ない正保国絵図の一つとして貴重というだけでなく、記された文字情報などが、重要な意味を持っています。また肥前国の郷帳等は他に確認されていないこともあり、江戸時代の肥前国を究明する貴重な歴史的基礎資料です。

肥前一国絵図  五嶋図
【肥前一国絵図】               【五嶋図】
肥前一国道則帳  絵図箱(肥前一国図在銘)
     【肥前一国道則帳】          【絵図箱(肥前一国図在銘)】