市長提案事項説明要旨


 平成23年9月武雄市議会定例会の開会に当たり、市政運営の状況及び方針についてご説明いたします。

 まず、全国的に注目されております被災者の支援の取り組みについてであります。

 6月定例会等での議会からの様々なご意見、ご提案、被災地における状況の変化、被災者から寄せられる声なども含め、第4次の「武雄市タウンステイ構想」を発表し、新たに3つの事業を実施することといたしました。

 一つは、「キッズ・タウンステイ」であります。これは、震災や原発事故の影響等によって、屋外でのスポーツや遊ぶ機会に恵まれない子どもたちに対しまして、武雄に滞在していただき心身のリフレッシュの機会を提供するもので、子どもたちやその保護者等に対し武雄までの移動費、滞在費の一定額を助成するものであります。

 8月末時点で、1団体と6家族、26名の子どもたちと11人の保護者の計37名を受け入れました。

 その中で、8月17日から4日間、武雄市内のボランティア団体等と連携し、福島県郡山市の小学生14名のグループを受け入れました。

 わずかの期間ではありましたが、武雄市に滞在中は、御船が丘小学校の子どもたち自ら企画した交流会、ドッジボール、プール遊び、宇宙科学館の見学などを行いました。

 私も、小学校での交流に参加しましたが、子どもたちからは「いつも30分しか外で遊べません。思い切り遊べて嬉しい。」「今年はじめてプールに入ることができて楽しかった。」などの声が聞かれました。

 今回の受け入れ、交流に当たって御尽力を賜りましたボランティアの方々、ホテルなどの関係施設の皆様、地域、保護者、議会の皆様など、お世話いただいた方々に対し、改めて御礼申し上げる次第であります。

 二つ目は、「タウン・サポートチーム武雄」の派遣であります。これは、4泊5日の日程で、市民の皆さん方が岩手県陸前高田市でのボランティア活動を行うものであります。詳細は、9月号の市報に掲載しております。第一次の派遣を9月25日に予定しております。

 三つ目は、「技能ボランティア」事業であります。企業等に協力いただき被災地での復旧、復興に有効な技能をお持ちの人材を派遣するものであります。

 さて、ここまで被災者支援の取り組みについてご報告いたしましたが、別の観点からの取り組みについてご報告申し上げます。

 ご存知のとおり、この夏は我が国では電力の需給逼迫が懸念され、国を挙げての節電対策が求められました。そこで、武雄市では独自の取り組みとして「ウルトラクールビズ」と「残業禁止」を実施しました。

 「ウルトラクールビズ」は、室内温度28度の厳守と節電意識の一層の徹底を目的に、夏の軽装として実施してまいりました「クールビズ」をさらに進め、これまでのノー上着、ノーネクタイに加え、ポロシャツ、Tシャツ、短パン、スニーカーなども認めることといたしました。

 この「ウルトラクールビズ」については、国内のマスメディアのほか、アメリカ大手テレビ局のABCを通じて全米で放送されました。多くの市民の皆様からも好意的にとらえていただいており、また、職員からも軽装で仕事の能率がアップしたと報告を受けております。

 また、7月からは「残業禁止」にも踏み切りました。

 これらの取り組みを行った結果、「ウルトラクールビズ」を開始した6月では、1か月の電力量は前年比で約20%の減となりました。

 さらに加えて、「残業禁止」を開始した7月の時間外勤務は、時間数で昨年比の93%の減、手当支給額ベースで363万円の減という著しい効果を上げることが出来ました。

 この取り組みによって、通常業務の内容についても見直しのきっかけになったと考えております。

 当初、「残業禁止」については7月、8月の期間に限ってとしておりましたが、このように、単に節電対策のみならず、業務の効率化、職員の意識改革等にも有効であることから、今後も議会の理解を得て継続して実施したいと考えております。

 一方で、これは佐賀新聞にも書かれましたけども、様々な課題が浮き上がってきました。とりわけ大きかったのは、公民館の業務であります。

 これによって、市民生活が、福祉の維持向上が低減することは許されません。

 したがいまして、私たちとしては、公民館等で勤務する職員に対しては大胆なフレックスタイム制を導入するということで、目下、組合と最終調整に入っております。

 組合等の理解が得られれば、早ければ10月から開始をしたいと思っておりますので、これも議会の皆様とよく協議をしたいというふうに思っております。

 次に、震災の教訓を「伝える」取り組みについてご報告いたします。

 議員有志とともに行った宮城県仙台市若林区での瓦礫撤去等のボランティア活動については、既に御報告いたしたところでありますが、活動の中で私自身あらためて災害の恐ろしさ、防災の必要性、人命の尊さ、特に助けあうことの大切さを痛感いたしたところであります。

 そしてまた、この貴重な経験から学んだことを、将来を担う子どもたちに伝える必要性を感じたところであります。

 そこで、議会からのご指摘を踏まえて、共に活動した議員諸氏とともに、この夏休み期間を利用して8月8日の武雄北中学校を皮切りに、中学校5校、小学校1校で、子どもたちを対象にしたボランティア活動の報告会を行ったところであります。

 また、8月24日には、御自宅が大変な被害を受けられ、5月に私たちがボランティア活動をいたしました宮城県仙台市若林区在住の、大友よし江さんと早坂静子さんをお招きし、自らが体験された災害の状況等について、市民の皆様、職員、約140名を前にご講演いただきました。

 次に、震災の教訓や被災者支援の経験を「活かす」取り組みについて御報告いたします。

 先の議会においてもご説明いたしましたとおり、今回の原発事故を踏まえ、本市の地域防災計画の大幅見直しを進めてまいりましたが、8月末に素案を取りまとめました。今回の見直しの大きな項目は、東日本大震災を踏まえ「原子力災害対策編」を追記すること、また大きな災害時を想定し相互支援体制を取るために、近距離の都市及び遠距離の都市間で災害姉妹都市的な協定を結ぶことであります。

 また、昨日、実施いたしました総合防災訓練では、この素案を元に原発事故を想定した訓練も行いました。

 県が策定された暫定避難計画による伊万里市の住民の方々の避難受け入れ、また武雄市の判断による若木町の住民の避難行動の訓練も行い、1000人を超える市民の参加をいただきました。

 大規模水害を想定した訓練においても多岐に渡る訓練を行いました。

 訓練の結果をしっかりと検証し、できれば9月いっぱいで検証結果を議会並びに市民の皆様方に報告したいと思っております。

 この検証結果を踏まえて、地域防災計画の見直し、今後の災害対策に活かしてまいりたい、そして、この原発を想定した避難訓練については様々な課題が浮き上がっております。これも活かして、来年も再来年もしつこくやっていきたいと、このように思っております。頭で考えるよりは、まず体で動く。これは黒岩議員さんもよくおっしゃられていますけども、そういう動きで私たちとすれば市民の安全安心を守ってまいりたいと、このように考えております。

 さて、8月1日に、武雄市のホームページを完全フェイスブック化いたしました。

 これは何のことかよく分からないという方が多数だと思いますけども、簡単にいえば、今まで実現できなかったこと、私とあなたの「情報の双方向性」、そして、すべてみんなの「情報の共有性」が一辺に図られるのがフェイスブックであります。

 私もはまっておりますが、「楽しく参加」することができます。

 こうしたソーシャル・ネットワーク・サービスを積極的に活用した行政の取り組みは全国どころか世界中でも例がなく、特に完全フェイスブック化は全国初の取り組みであります。

 来る9月11日(日)、12日(月)には私が会長を努めております日本ツイッター学会・フェイスブック学会の総会が武雄市で開催いたします。その中でも、初心者の方を対象としたフェイスブック講習会を大々的に開催することといたしておりますので、ぜひ議員の皆さん、市民の皆さんたちの積極的なご参加をお願いしたいと、このように思っております。

 次に、現在開発中の「武雄北方インター工業団地」について御報告申し上げます。

 北方町宮裾地区において造成工事を進めてまいりました「武雄北方インター工業団地」については、いよいよ今月末に工事が完了し、10月1日からは分譲開始の運びとなりました。この場を借りて、あらためて地域住民の皆様方、議会の皆様方に厚くお礼申し上げます。

 言うまでもなく、企業誘致は雇用機会の拡大や税収の増、地域経済の活性化などに極めて有効であります。

 この工業団地につきましては、高速道路からわずか2分という好立地条件や、先の議会において議決いただきました国内最大級の誘致制度等をアピールし、超円高といういまだかつて無い逆境の中、私自身、早期分譲に向けた誘致活動、トップセールスを行ってまいります。

 最後に、市民病院の民間移譲に関します住民訴訟の進捗状況について、御報告申し上げます。

 去る7月22日、佐賀地方裁判所において第5回口頭弁論が行われました。

 原告側は、平成23年6月2日に「請求の趣旨の縮減申立書」を提出し、市民病院には営業権があったとする会計士の意見書に基づき主張を大きく変更しました。

 ありえない話です。主義主張がどういう事であっても、途中で変わる、裁判の中で大幅に変わるということは、私自身、裁判に関わってきたところもありますが、これはありえないことであります。

 ぜひこれは、一部関与されて主導的な立場をとっておられる平野議員さん、江原議員さんには、何を考えているのか、首をかしげたいところでありますけども、私たちとしては、裁判において、9月22日に弁論準備が予定されておりますので、武雄市が行った市民病院の民間移譲が正当な手続きのもとで行われたことを誠心誠意説明し、明らかにしてまいる所存であります。

 最後になりますが、私といたしましては、引き続き市政推進のため、より一層尽力してまいる所存であることをここにお誓い申し上げますとともに、議員各位におかれましても、引続きのご協力、ご支援、ご指導を切にお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。

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