市長提案事項説明要旨

おはようございます。


武雄市議会定例議会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。


去る8月28日未明、対馬海峡付近に停滞する秋雨前線の影響で、九州北部地方は、猛烈な雨に襲われました。本市も今までに経験したことがないような豪雨により甚大な被害が発生しました。

この豪雨により不幸にしてお亡くなりになられた3名の方に謹んで心から哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての市民の皆様に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。

本市では、27日の大雨洪水警報の発表と同時に災害情報連絡室を設置し、さらに土砂災害警戒情報が発表されたことにより災害警戒本部を設置、市民の皆様の安全確保に努めてまいりました。その後大雨が予想されたことから、各町に避難所を設置し、市内全域に避難勧告を発令。翌日未明、最大時間雨量が100ミリを超える豪雨により、気象庁が記録的短時間大雨情報を発表、5時30分に災害対策本部を設置し、市内全域に緊急の避難指示を発令いたしました。

大雨特別警報も発表された記録的な豪雨による被害は、現在把握しているだけでも家屋で床上浸水539件、床下浸水348件、その他、農林、道路、河川など災害箇所は市内各地で500カ所を超え、未だ避難所での生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。

災害対策本部においては、自衛隊、佐賀県、消防、警察等の関係機関と連携を取りながら、情報収集と今後の対応について協議し、被災個所の速やかな復旧と被災された方々への救援活動を全力で実施しているところであります。議員の皆様におかれましても、昼夜を問わず復旧活動に取り組んでいただいておりますことに心から感謝を申し上げます。また、小池団長を中心とした消防団の皆様におかれましては、ご自分の周辺も心配される中、発災当初から昼夜問わず対応いただいており、深く感謝申し上げます。

また、緊急避難先として、100名を超える方々を快く受け入れていただいた永源寺様にも御礼申し上げます。

今回の災害においては、多くの市内外の事業者様からも人的支援や物資の提供など様々な形で、心温まるご支援をいただいており、加えて災害協定を締結している太宰府市などの自治体のみならず、陸前高田市や近隣市町など多くの自治体や数多くの皆様からお見舞いのメッセージやご支援をいただいております。この場をお借りしまして、皆様に心から感謝申し上げます。

また、31日からは、全国から2日間で900名を超えるボランティアの方にご尽力いただき、頭が下がる思いであります。

そして、このような状況に鑑み、本議会において、災害対応最優先という考えのもと、一般質問を中止するというご英断をしていただいた武雄市議会に対しまして深く感謝申し上げます。皆様の気持ちに応えられるよう災害復旧に全力を挙げ、迅速に取り組んでまいります。

今回の災害発生後は、「人命最優先」の方針のもと、市民の皆さまの命を守ることを何よりも優先し、まずは人命救助、救援、安否確認、水や食料の提供などに全力をあげてまいりました。

その後、復旧に本格的に着手し、できる限りスピード感を持って復旧作業を進めております。この間、時間が許す限り、被災現場を見て回り、状況を確認しておりますが、たくさんの皆様のご努力、ご協力により一歩ずつではございますが、復旧に向け、着実に進んでおります。これまで当たり前と思っていた普段の生活が、いかにありがたく、かけがえのないものであるか、そしてその生活を取り戻すことがどれだけ大変なことかを痛感しております。今後は、一日も早い復旧を成し遂げ、市民の生活再建に全力で取り組んでまいります。

今回の災害で、武雄市役所が浸水し、28日に窓口業務を停止し、その対応に追われることになり、市民の皆様にご迷惑をおかけすることになりました。市民の安全安心の拠点として開庁したにもかかわらず、このような事態となったことは、ひとえに私の不徳の致すところであり、誠に申し訳なく深く反省しております。

この点を含め、今回は想定外の豪雨であったとはいえ、なぜこのような甚大な被害が発生したのか、真摯に反省、分析しながら、この教訓を生かし、皆様とともに、真の意味で「災害に強いまちづくり」に取り組んでまいります。

一方で、私はこの災害の中にあって、区長さんや消防団などの地域の強い絆、さらには武雄市を離れていてもこの街のことを強い気持ちで想う人たちの存在を、復旧作業やたくさんの支援を通じて、これまで以上に強く実感いたしました。また武雄の美しい田園風景や普段の生活の豊かさを再認識いたしました。

私はこれまでも、21世紀は、経済的な豊かさではなく、文化や誇りといった心の豊かさを追求する時代だと話しておりました。今、改めて、市民の皆様、そして離れていても武雄市を故郷と想っていただいている方と共につくり上げるべく、復旧や生活再建、そしてこれまで以上の更なる発展に向け取り組む決意であります。

その道のりは長く、そして決して平坦なものではありませんが、被災者の皆様のまずは「一日も早い復旧」を成し遂げる、そして「一日も早い生活再建」を達成する、さらには熊本地震を受け、恩師である蒲島熊本県知事が言われた"創造的復興"のごとく、「被災前よりも良いものをつくり、さらなる発展につなげる」ため、議員の皆様とともに、被災された方々や被災した地域を全力で支えていく所存であります。


それでは、私より、提案事項の説明をさせていただきます。


■有害鳥獣対策についてであります。


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農地を荒らすイノシシ対策において、捕獲したイノシシの処理方法は全国的な課題であります。本市においては、全国に先んじて、イノシシの処理加工施設を設け、年間に2千頭から3千頭程度捕獲されているイノシシの一部を食肉加工し、地域の特産品としてブランド化を図ってまいりました。

その際、食肉加工に適していない部位や固体については、これまで事業者へ委託し、焼却処分しておりましたが、これに代わる新たな一手として、「乾燥」という処理方法を導入。具体的には、武雄地域鳥獣加工処理センター(やまんくじら)が行う乾燥処理施設の整備に対しまして補助を行います。これにより、食肉加工用以外のイノシシを乾燥させ、さらには肥料等へ有効に活用していくことにも取り組んでまいります。

この取組を進めることで、農地を保全するために捕獲したイノシシを肥料等へ資源化し、それらを農地へ還元することにより更なる農地保全へ繋げるといった循環型社会の実現を目指してまいります。更には、資源化を進めることが新たな資金源となり、SDGs(持続可能な開発目標)の推進や地域経済の持続可能性にも繋がることを期待しております。

全国に先駆けたイノシシ対策のモデル事業となることを目指し、本取組を強力に推進してまいります。


■観光についてであります。


佐賀・長崎両県をつなぐ西九州のハブ都市実現に向けては、本市の強みである利便性の更なる向上や西九州エリアへの誘客が必要であります。

昨年度運行した長崎空港と武雄温泉を40分で直接結ぶ「武雄温泉すいすいタクシー」を、今年度は1往復から4往復に拡大して運行。また武雄温泉駅では先月から手荷物の一時預かりサービスを開始し、観光客の利便性が大幅に向上しております。今後も更なる認知度向上と誘客に努めてまいります。

このたびの被災によるピンチをチャンスに変えるためにも新幹線開通まで3年をきった「ハブ都市元年」の本年、本市のみならず西九州エリアへの交流人口の増加に向け、今後も市民の皆さんと一緒にスピード感を持って取り組んでまいります。


■福祉についてであります。


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認知症高齢者や障がい児者が起こした事故に備えた保険に市が加入し、損害賠償を肩代わりする制度を導入し、高齢者等を在宅で介護している家族の不安や負担の軽減を図ってまいります。

また、まち全体で認知症に対する理解を深めるため、9月28日に、認知症を題材とした舞台「ペコロスの母に会いに行く」を武雄市文化会館大ホールにおいて開催いたします。

誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる社会の実現を目指し、「人にやさしいまちづくり」を更に進めてまいります。


■スポーツについてであります。


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武雄市新球場建設基本計画を7月に策定しました。「親しみやすく、みんなで育てていく球場」を整備コンセプトとし、令和4年度の利用開始に向け、着実な事業の進捗を図ってまいります。

また、半世紀ぶりとなる新体育館建設については、基本計画を作成中であり、今後基本方針等を定める予定であります。市民の皆さまの誰もが気軽にスポーツを楽しめる施設にしたいと思っております。

このような環境づくりを行うことにより、誰もが幸福で健康で充実した生活を送れるよう取り組んでまいります。

以上で私の提案事項説明とさせていただきます。

本議会もどうぞよろしくお願いいたします。