平成19年度 武雄市図書館・歴史資料館ミニ企画展
皆春齋
場所:蘭学館ミニ展示コーナー(観覧無料) 期日:平成19年5月11日(金)〜6月20日(水)
武雄領主の鍋島茂義(1800〜62)は、ガラス・陶磁器の製造のほか砲術や蒸気船の研究などを積極的に行い、佐賀藩の科学技術の発展に大きく貢献しました。一方で茂義は、多彩な趣味の持ち主であり、それらは、狩猟・能楽・絵画・鳥や虫などの飼育・鉱石や魚骨の採集・かき花卉の栽培など多岐にわたっています。 絵画に関しては、「皆春齋」という雅号を持ち、その画術の高さは趣味の域を超えています。 今回は、皆春齋が描いたとされる絵画をはじめ、当時使用されていたと思われる絵道具等を展示し、茂義の画業にふれたいと思います。また今回展示した絵具等は、神戸市立博物館特別展「西洋の青」にも出展された、注目すべき貴重な資料です。
『吉野桜図』
皆春齋筆 武雄市蔵
桜の名所である大和国吉野山の山桜を描いたものである。
『佐野渡図』
皆春齋紀義筆 個人蔵
新古今和歌集におさめられた藤原定家の歌、「駒とめて袖うちはらふかげもなし佐野のわたりの雪の夕暮」を画題としたものと思われる。紀義は茂義の若い頃の名前である。
『画帖』
武雄市蔵
画帖には、茂義が描いたと思われるものや、茂義の妻である寵姫(ちょうひめ)が描いたとされるものなど数冊が残っている。 画題も周囲の風景や動植物などの写生、狩野派の絵の模写など多様である。
『雪ノ結晶模様煎茶碗』
箱書きに「顕微鏡使用雪ノ結晶冩生絵模様」とある。古老の聞き書きは「顕微鏡ニテ視タル雪ノ実景ヲ写シ公ト心海ノ合作ナリ」と伝える。
『絵具』
箱書きに「茂義公皆春齋御繪具」とあり、顔料の袋に「小傳馬町貮丁目御繪具所繪具屋清助」「深川北六間堀御繪具所下ノ橋繪甚」などと刷られている。『長崎方控』にも随所に絵具や画材の購入の記述が見られる。このように江戸時代の絵具が現存するのは極めて珍しいことである。
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図録『皆春齋』
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