平成21年度 武雄市図書館・歴史資料館ミニ企画展

文明のあかり展

 天保8年(1837)、ポンプの原理を取り入れた「無尽燈」が発明されました。これは、それまでの燃料を燃やすだけの単純なあかりから、科学的理論に基づく工夫を取り入れたあかりへの第1歩となる画期的な灯火具と言え、従来よりも明るく、しかも安定した光は、当時の人々に驚きを以って迎えられました。
   今回の武雄市図書館・歴史資料館ミニ企画展では、武雄鍋島家資料を中心に、文明開化へ向う「あかり」に関係する資料を展示いたします。
 下に、展示品の一部をご紹介します。

場所:蘭学館ミニ展示コーナー(観覧無料)
期日:平成21年6月19日(金)〜8月20日(水)


懐中燭台
   
 

懐中燭台

江戸後期〜明治初期

 「からくり儀右衛門」の呼び名で知られ、佐賀藩精錬方にも招かれた初代田中久重が、天保5年(1834)に考案したとされる折り畳み燭台の一種。支柱は3段に折り曲がり、全部伸ばせば燭台になります。3枚の脚板もこれをたたみ合わせると、ちょうど受皿が収まるように、各板に穴があいています。
※写真の受け皿は復元品。

 
   

   
 

無尽燈

江戸後期 武雄鍋島家資料

 江戸時代、灯火に使用されていた菜種油は、粘性が強く、芯への浸透が容易ではありませんでした。天保8(1837)年に田中久重により考案された無尽燈は、19世紀のはじめ頃、オランダ人によってもたらされた気砲(空気銃の一種)の原理が応用されています。
 武雄鍋島家の資料には、2本の無尽燈が残されています。佐賀県内にはこの2本を含め現在4本の無尽燈が確認されていますが、残りの2本も武雄領内の旧家に所蔵されていたもので、本来は4本ともが武雄に残されていたことになります。  写真の無尽燈の内、左側に取り付けている口の広いホヤは複製です。

 
   
無尽燈

暗室洋燈
   
 

暗室洋燈

江戸後期 個人蔵

 アメリカで生まれたスチューデントランプの一種。油槽をランプのバーナーから切り離して高い位置に置き、油が重力によって連結された管を通ってバーナーに供給される仕組になっています。油槽の影が手元にほとんど生じないことから、勉学用のランプとして広く使用されたため、その名が生まれました。このランプは箱書きに「暗室洋燈」とあります。
 第28代武雄領主鍋島茂義の購入記録である「長崎方控」の中にも「夜学燈」の名が随所に見られますが、まさしく勉学用のランプ(スチューデントランプ)と同様のもので、この「暗室洋燈」も「夜学燈」の名で武雄に持ち込まれたものと考えられます。

 
   




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