平成21年度 武雄市図書館・歴史資料館ミニ企画展

描かれた異国人展

 日本とオランダの交流は、1600年、大分にオランダ商船デ・リーフデ号が漂着したことに始まります。1609年には平戸にオランダ商館が開かれたことから、今年(2009年)は、日蘭通商400周年に当たります。
 鎖国政策が進行した1639年以降は日本との貿易が許可された西洋の国はオランダただ1国となり、1641年、オランダ商館が長崎の出島に移されたことで鎖国体制は完成します。武雄では、西洋の進んだ科学技術を取り入れるため、オランダを通じて蘭書、大砲、測量器具など様々なものを輸入していました。
 安政5年(1858)、江戸幕府はアメリカなど5カ国と修好通商条約を締結しました。これにより、アメリカ・ロシア・イギリスなど日本には多くの外国人が訪れるようになりました。そのため日本では、訪れた外国人を描いた絵図や版画、外国語を紹介したかわら版などが出回るようになります。
 今回のミニ企画展では、当時の日本人が描いた外国人の姿を版画・絵図等で紹介したいと思います。
 下に、展示品の一部を紹介します。
 

場所:蘭学館ミニ展示コーナー(観覧無料)
期日:平成21年8月21日(金)〜12月16日(水)

 
外国人物図画 魯西亜
   
 

外国人物図画 魯西亜

歌川芳幾作 文久元年(1861) 武雄市蔵

 資料には、男女の絵とともにロシアについて簡単な説明が書かれている。
「魯西亜
   亜那亜州中 北方の 一大国 にて 都府を トホルスシといふ 此国の人強暴 にて 義を重 んじ将砲術に 達たりとぞ 婦女の容色 嬋娟として其美限なしとなん」
 歌川芳幾(1833〜1904)は幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師で、新聞人である。姓は落合、名は幾次郎。画姓は歌川、画号は一恵斎、一蕙斎、蕙斎、朝霞樓など。歌川国芳の門人で、月岡芳年とは兄弟弟子である。1875年(明治8年)、「平仮名絵入新聞」(のちの「東京絵入新聞」)の創刊にもかかわりこの新聞で挿絵画家としても活動。また「歌舞伎新報」の発行にもかかわり、俳優の特徴を写実的にとらえた挿絵を描いた。

 
   
 
   
 

武州横浜八景之内英吉利人

歌川芳虎作 武雄市蔵

 歌川芳虎(生年不詳〜明治13年)は歌川国芳の門人で俗称・永島永五郎という。一猛斎、一孟斎、錦朝楼などと号した。天保から明治20年頃にかけて作品を残しており、武者絵、役者絵に優れ、ほかに美人画、横浜絵、明治開化絵なども描いている。

 
   
武州横浜八景之内英吉利人
 
海外新話
   
 

 海外新話

嘉永2年(1849) 武雄鍋島家資料 武雄市蔵

 丹後田辺藩士嶺田楓江が、中国の『夷匪犯彊録』をもとにアヘン戦争の概略を兵易な文章と多くの挿絵で庶民向けに執筆した全5巻の書。イギリスについての簡単な総論、侵略地図、軍装等に始まり、本文では軍記物語の形式をとり、戦争の顛末を記した。アヘン戦争を詳述することで、日本に迫る外圧の脅威を啓蒙しようと、嘉永2年(1849)刊行したが、幕府により絶版処分を受けた。
 絵はイギリスの歩兵軍装である。

 
   

 
 

 武雄の蘭学   過去のミニ企画展へ 
 
 歴史資料館TOPへ  
 
Copyright (C) Takeo City Library&Historical Museum