平成21年度 武雄市図書館・歴史資料館企画展
日蘭通商400年

武雄の蘭書

 蘭学資料の豊富さ、来歴の確かさで知られる武雄には、138冊の蘭書が残っています。これは、武雄領主鍋島茂義(1800〜1862)が1830年代に西洋砲術を学び始めた頃から蒐集したものです。
 茂義は西洋の技術や文物を積極的に移入・習得し、佐賀藩の近代化に大きく貢献しました。
 10月31日から長崎で開催される日蘭通商400年記念展「阿蘭陀とNIPPON」の協賛企画として、「武雄の蘭書」と関連資料を紹介する企画展を開催します。
 下に、展示品の一部をご紹介します。


場所:企画展示室(観覧無料)
期日:平成21年10月28日(水)〜12月13日(日)


オランダ王立園芸促進協会誌
   
 

オランダ王立園芸促進協会誌
『オランダ本土及び海外領土の園芸植物』

1854年刊

 ライデン大学教授ド・フリースはシーボルトがライデンで経営していた日本産花卉栽培所の植物についてしばしば寄稿している。第1冊にはウメ、第2冊には1852年にユトレヒトの花屋がソフィア王妃に献上したツバキ(Camelia Japonica L.var.Sophia Glym)に関する論文がある。残念ながらこのツバキの石版彩色折り込み図版が欠落している。茂義の死後、彼の手元に有った西洋書を書き留めた『西洋原書簿』では「トインボーウ 原 カリトヂ 五冊」となっており、3冊失われている。

 
   

   
 

『和蘭官軍之服色及武装略図』

山脇正民著 安政5(1858)年

 オランダで出版された『オランダ陸軍の服装と武装』(写真右)を、安政5(1858)年に郡上藩士の山脇正民が翻訳し、出版したもの。表題どおり、描き方そのものが簡略化されている。48葉の木版画が収められている。(右写真の原書と同じ絵が、左頁下段中央に見える)

 
   
和蘭官軍之服色及武装略図

デッケル 歩騎砲三兵戦術
   
 

『デッケル 歩騎砲三兵戦術』

1831〜1833年刊

 ナポレオンが得意とした歩騎砲の三兵戦術に関する基本図書として幕末によく研究された。茂義は弘化2年に本書を入手、翌年に西吉兵衛に翻訳させた。学習の跡を示す赤通し多数あり。ドイツ語からの蘭訳。『西洋原書簿』の「デッケルタクチーキ 原箱入 二冊」に相当。茂義の死後、彼の元に有った西洋書以外の書物を整理した『浄天様御手元御書物帳』の「翻訳砲術書」部に「タクチーキ目録 一冊」とある。

 
   

   
 

『三兵答古知幾(写本)』

ブラント原著・高野長英訳ヵ?
 19世紀中期

「三兵」とは歩兵・騎兵・砲兵を指す。「答古知幾(タクチーキ)」とは蘭訳本の「taktiek」の音訳で「戦術」を意味する。これは、写本であり4、9、10巻が残っている。

 
   
三兵答古知幾(写本)

ボイス訳 新修学芸百科事典
   
 

『ボイス訳 新修学芸百科事典』

1769〜1778年刊

 技術・学術・博物・地理に関する百科事典。武雄の蘭書に含まれる百科事典としては、他に『ショメル日用百科事典』の正編、補遺、簡約がある。古渡りのショメル3種の所蔵が確認されているのは、現在、武雄だけである。

 
   


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