平成21年度 武雄市図書館・歴史資料館ミニ企画展

新春を寿(ことほ)

 武雄市には、武雄鍋島家に伝えられた品を中心に、中世から近代に至るまでの幅広い年代の1万6千点を超える貴重な資料が残されています。今回のミニ企画展では、これらの資料の中から虎図の板戸など新春にちなんだものを展示し、新年を祝う雰囲気を演出したいと思います。
 下に、展示品の一部をご紹介します。

場所:蘭学館ミニ展示コーナー(観覧無料)
期日:平成21年12月18日(金)〜平成22年2月17日(水)


竹虎図杉戸板絵
   
 

竹虎図杉戸板絵

江戸後期
武雄鍋島家資料

 竹と虎を描いた板絵。作者は不明ですが、技法などから狩野派の絵師の手になるものと考えられます。

 
   

   
 

御歌かるた

江戸後期 武雄鍋島家資料

 かるたの名はポルトガル語で紙札状のものを意味するcartaに由来するとされます。百人一首かるたの詳しい起源は不明ですが、元禄享保年間(17世紀〜18世紀前半頃)のかるたも現存することから、この頃には既に流行していたものと考えられます。

 
   
御歌かるた

笑尉
   
 

笑尉(わらいじょう)

武雄鍋島家資料

 「能」は約600年の歴史を持ち、舞踏・劇・音楽・詩などの諸要素が交じりあった現存世界最古の舞台芸術です。江戸時代には、儀式に用いる楽として式楽と呼ばれ、大名家においては正月を初め、節句には必ず催される習(ならわし)になっていました。武雄鍋島家資料にも多くの能に関係した書物が残っており、江戸時代の観世流の謡本だけでも100冊以上あります。
 笑尉は、主に上掛リ(観世流と宝生流)が用いる面。骨格がしっかりしたスケールの大きな尉面で、わずかに目尻が上がり、そこから皺が上下に流れています。口元からこぼれる笑みなど、快活で上品な表情を見せます。「白楽天」の前シテで老人の漁師に用いられます。たくましく生きる老人の姿に、住吉明神の化身という品格も求められます。

 
   

   
 

童子

武雄鍋島家資料

 透き通るような白い肌に、一筋一筋丹念に描かれた前髪と産毛にも似た眉が美しく映えます。四角く切られた瞳孔、朱の唇など、若い女面を想起させる優雅な顔立ちを持つ面です。慈童は主に観世流で用いられる面ですが、ともに少年の顔立ちのなかに大人びた表情をのぞかせる、不思議な雰囲気をもつもので、〈菊慈童〉や坂上田村麻呂の化身(〈田村〉の前シテ)・霊狐の化身(〈小鍛冶〉の前シテ)・文殊菩薩の来現を予言する童子(〈石橋〉の前シテ)など、神性を帯びた役柄に使われます。

 
   
童子

尺八
   
 

尺八

武雄鍋島家資料

 武雄第20代領主後藤家信使用のものと伝えられる尺八の一種、一節切(ひとよぎり)。竹製の縦笛で、節が一つあることから、この名が付きました。室町時代に中国から伝えられたとの説があります。室町時代から江戸時代初頭にかけて流行し、一休や雪舟も好んで奏したと伝えられています。また能楽の囃子に用いられ、能管に替えて用いられたこともありました。

 
   




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