平成20年度 武雄市図書館・歴史資料館企画展

皆春齋 鍋島茂義の絵と絵の具 

 近海へのロシア船の出没などによって日本が海防の強化を迫られていた時代に、軍事、医学、化学など幅広い分野で蘭学の導入に努めた人物として知られる、第28代武雄領主鍋島茂義(1800〜1862)は皆春齋の雅号を持ち、画業も能くしました。
 皆春齋は、当時の上級武士の常として狩野派の流儀を学び、若いころから晩年まで折々に筆を取っていますが、伝統的な手法に止まらず、飼育・栽培した動植物の写生図など、写実的な絵も描いています。
 今回の展示では、皆春齋の絵画とともに、所用の絵の具、御用窯である三ノ丸窯で焼成されたと思われる絵の具皿・筆立・筆洗いなどの絵道具を御覧いただけます。下に、展示する画帖(いずれも武雄鍋島家資料)から一部を紹介します。
 ※紹介した頁が展示されているとは限りません。

場所:企画展示(観覧無料)
期日:平成21年2月7日(土)〜平成21年3月22日(日)


薔薇・違棚
   
 
 

 薔薇の絵には、『外北ノ庭東/小春廿八日冩生子』の書き込みがある。子は、佐賀藩第10代藩主鍋島直正の異母姉で、茂義の一人目の室『寵(1811〜1829)』のことである。同じ画帖には違棚用と思われる図柄もあり、寵の居室のものを写生あるいは考案したものである可能性も考えられる。

 
 

   
 

 (つがい)駱駝(らくだ)の絵が見える。文政4年(1821)長崎に持ち込まれた駱駝は、文政7年、江戸で見世物にされて評判となり、多くの引き札(広告)や錦絵が出された。この画帖も、その頃に描かれたものではないかと考えられる。

 
   
ラクダ等

変化朝顔
   
 

 ここに描かれた朝顔は、花弁に切れ込みが入っていたり、葉が3裂ではなく5裂であったりと、通常の朝顔とはやや異なる形をしている。こうしたものを変化朝顔と呼ぶ。江戸の文化文政期(1804〜1830)に栽培が大流行し、花も葉も、朝顔とは思えないような品種が数多く作り出され、嘉永・安政期(1848〜1860)にもブームとなっている。この朝顔もそうしたものの一つを写生したと考えられる。

 
   

   
 

 様々な花の写生。右端の花(ミズアオイか?)には、1828年に発見された、当時最先端の合成顔料であるウルトラマリンブルーが用いられている。

 
   
植物写生


参考頁
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