令和2年3月市長提案事項説明要旨

おはようございます。


私より、提案事項の説明をさせていただきます。


中国を発端とした新型コロナウイルス感染症の脅威が、市民生活や地域経済にも影響を及ぼし始めております。

本市においては、先月21日に「新型コロナウイルス対策情報連絡室」を設置し、情報収集や市民への情報発信、注意喚起などを行ってまいりました。

このような中、政府の方針を受け、感染拡大の防止のため、苦渋の決断ではありましたが、本市主催のイベントを中止・延期せざるを得なかったこと、また、3月22日から24日までの日程で本市において開催予定だったアジアベストレストラン50をはじめ、多くのイベントが中止や延期となっていることは大変残念であります。

現時点で佐賀県内での感染者は確認されておりませんが、まずは、市民の皆様の安全・安心な生活を確保することを第一に考え、今後の動向を注視しながら感染予防に向けた対策にしっかりと取り組むとともに、地域経済への影響にも対応してまいります。

なお、小中学校の全校休校につきましては、国や県の要請を踏まえ、武雄市立の小中学校を、明日3月3日火曜日から3月15日日曜日までを臨時休業といたします。

休業中、児童生徒は自宅学習を基本といたしますが、共働き家庭やひとり親家庭などのうち、どうしても家庭で対応できない場合は、放課後児童クラブで預かります。

子どもたちの健康維持や感染予防、そして日々困難な状況にある家庭が決して困ることのないようしっかりとした受け皿を作ることを最優先に対応してまいります。


さて、令和元年8月の豪雨災害を受け、被災前よりも一人一人が幸福を実感できるまちを目指し、本年1月に武雄市創造的復興プランを策定いたしました。令和2年度においては、これまで取り組んできた「地域経済の活性化」「人にやさしいまちづくり」「さらなる生活の充実」の3つの基本方針に加え、「災害に強いまちづくり」を新たな柱とし、一日も早い復旧、生活再建に引き続き取り組むとともに、防災に加え被害を最小化する減災対策をまとめた、防災・減災政策パッケージを強力に推進してまいります。


◼︎災害に強いまちの創造についてであります。


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自らを守る自助に対する取り組みといたしまして、令和2年度からの2か年間において、市内全家庭を対象に戸別受信機を設置いたします。市民の皆様が必要とされる情報を、より確実に伝達できるシステムを構築いたします。

また、複数あった既存のハザードマップを統合した新たなハザードマップの作成や、市からの情報等を表す防災アプリの構築、さらに、水害の記憶を将来に残していくための浸水高表示板の設置などに取り組んでまいります。これらの取組を通して、普段から多くの方が防災意識を持ち、対策を行うことにより、防災に加え、被害を少なくする減災が可能になると考えます。自分の身の安全を守るために、一人一人が取り組む自助の醸成を図ります。

次に、地域や身近にいる人同士が助け合う共助に対する取り組みといたしまして、全ての自主防災組織を対象とした防災講座を実施いたします。あわせて、自主防災組織の活動や資機材購入に対して補助を行うことにより、地域防災力の向上を図ります。

また、大人だけでなく、子どもたちの防災意識を更に高めるため、学校の授業や放課後児童クラブでの防災講座の実施など、防災教育の充実を図ってまいります。関係機関と連携し、学校、地域、家庭が一体となった防災教育を進めてまいります。

共助の取り組みとして、孤立を防ぐコミュニティづくりは大変重要であります。地域の高齢者等を、1対1ではなく、複数の人が連携し、チームで見守るような新たなネットワークづくりを、まずモデル地区で実施いたします。民間ボランティア団体等と協働し、被災者や被災地域の支援活動を行う集落支援員の配置や、避難時に支援が必要な避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定と合わせ、地域で孤独になりがちな災害弱者の方々をしっかりと支えてまいります。

昨年の豪雨災害では、関係機関や災害ボランティアの方々など、多くの皆さんの支援が本当に大きな力となりました。これを踏まえ、災害時に、市民の命と健康を守る保健活動を充実させるため、災害時保健活動ボランティア登録制度を開始いたします。保健師や看護師等の保健活動ボランティアを事前に登録してもらうことにより、避難所における被災者の健康管理や有症状者への対応を迅速に開始できる体制整備を図ります。

次に、公助の取り組みについてです。本年4月に、新たに防災・減災課を設置するとともに、防災・減災担当理事を新設し、本市の防災・減災体制を強化いたします。

市民の安全・安心の拠点となる市庁舎の浸水対策として、庁舎への止水板の設置や都市下水路の一部改修工事を実施いたします。

避難所の環境改善については、長期間の避難生活におけるプライバシーの確保等の課題解決に取り組んでまいります。水や食料などに加えて、良好な生活環境を確保するための資材等も含めた備蓄計画を策定し、よりよい環境づくりを目指してまいります。


◼︎なりわいの再生と新たなまちの賑わいの創造についてであります。


先般、九州新幹線西九州ルート武雄温泉駅の新築工事がいよいよ始まりました。約2年後に迫った新幹線の暫定開業を見据え、交通の要衝という本市の優位性を活かして、「西九州のハブ都市」となるべく、新たなまちの賑わいの創造や更なる利便性の向上に向けた取り組みを加速させてまいります。

新たな公共空間として発生する新幹線高架下をはじめ、武雄温泉駅前や旧庁舎跡地、中央公園、まちなか広場等の駅周辺のエリアの賑わい空間の創出を進めます。実際に使いながら、さまざまな実証を行うことにより、使う人の発想に基づいた整備計画を策定し、今後の整備にスピード感をもってつなげてまいります。

また、開業効果を、駅周辺だけではなく市内全体へ波及させていくことも重要です。公園の一元管理と魅力化を図るため、新たに公園課を設置いたします。市民にとっての癒しの空間である公園を管理するだけでなく、黒髪山のブランドイメージ向上など、公共空間の更なる活用と魅力の創出を図ってまいります。

農業については、今年度、就農支援室を新設し、新規就農の促進を図ってまいりました。今後、支援メニューを増やし、就農のスタイルに応じた更なる支援を行ってまいります。研修や移住などの就農への入り口から就農準備に係る初期投資や就農開始後の経営までを切れ目なく支援することにより、早期の経営安定化を図り、日本一就農しやすいまちの実現に向けて確実に取り組んでまいります。


◼︎安心して住み続けられるまちの創造についてであります。


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高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築は必要不可欠です。各地域でのサロンや健康づくりなどの「介護予防」や「居場所づくり」、外出支援やゴミ出しなどの「支えあいの地域づくり」を進めるため、競輪事業の収益による地域振興基金を活用し、各町の実情に応じた地域包括ケアシステムの拠点整備を支援してまいります。

学校教育につきましては、来年度から、小学校新学習指導要領が本格実施され、新たに3、4年生で外国語活動が始まり、5、6年生では、教科として外国語科が新設されます。武雄市では既にこれに対応した授業に取り組んでいるところですが、さらなる充実を図るため、外国語指導助手、いわゆるALTを増員し、小学校のすべての外国語の授業にALTを配置いたします。外国人の先生といつでも話したり聞いたりすることができる環境づくりを多文化共生社会につなげてまいります。

子どもの貧困対策につきましては、支援を必要とする子どもや家庭に寄り添う伴走型支援を行う「こどもの笑顔コーディネーター」を増員し、伴走型支援を市内全ての学校に拡大し、充実いたします。また、新たな子どもの居場所づくり事業にも取り組み、子どもや保護者の孤立を防ぐとともに、さまざまな学習支援にもつなげてまいります。

今年度、発達障がい児を就学前から就職まで伴走型で支援する専門部署を設置し、関係機関と連携しながら、ライフステージに応じた切れ目ない支援を行ってまいりました。来年度は、子どもたちの成長や支援の過程を記録したサポートブックを作成・活用し、これまで以上に切れ目ない支援を行ってまいります。また、佐賀県初となる保育士を対象とした公認心理士による研修をはじめ、出前講座や交流サロンの充実により、子どもたちの周りの理解を深める取り組みも進めてまいります。


◼︎新しい文化の創造についてであります。


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スポーツとくつろぎの融合の場として、白岩運動公園及び新体育館の整備に取り組みます。新しいスポーツ文化の創造や新たなまちの賑わいの創造、市民に身近な空間づくりを目指してまいります。

この夏開催される東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、武雄市においても、本年5月10日に、オリンピック聖火リレーを開催いたします。競輪場公園前から武雄温泉楼門までの約2Kmを、聖火リレーランナーが駆け抜けます。この東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、誰もがスポーツに親しみ、気軽に取り組むような機運を高めてまいります。


◼︎最後に、財政運営についてであります。


健全な財政は市政運営の要であります。

今回、特に防災・減災関係の予算が大きく増えましたが、これに対しては、新規事業の先送りや既存事業の見直し、国、県の補助金の活用等を徹底的に行い、必要な財源を確保しております。

あわせて、市の借金である市債残高も、前年度比で5億6700万円の減とするなど、真に必要な事業には重点的に予算配分することと合わせ、健全な財政運営にも引き続き着実に取り組んでまいります。


以上、市民の皆様が安心して住み続けられるまちづくりを第一として各種政策に全力で取り組んでまいりますので、議員各位の御理解・御協力を切にお願い申し上げ、私の提案事項説明とさせていただきます。


本議会もどうぞよろしくお願いいたします。