市長提案事項説明要旨

おはようございます。

武雄市議会定例会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

はじめに、元日午後、能登半島では最大震度7の揺れを観測する地震や津波の影響で、建物倒壊などの甚大な被害が発生しました。
この地震により不幸にして亡くなられた方々に謹んで心から哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。

本市におきましては、発災直後より被災者受け入れのための住居を確保するとともに、義援金募金箱を市役所や各町公民館などに設置し、皆様からの心温まる支援を被災地に届けてまいりました。また、避難生活での不安や困りごとが少しでも解消できるよう、一般社団法人おもやいを通じて生理用品や大人用の紙おむつなど、現地で不足している物資を送付いたしました。
加えて、石川県からの要請を受け、2月11日から8日間、2名の職員を派遣して被災家屋の被害認定調査に従事するなど、被災された方々の一日も早い生活再建に向けて支援しております。
引き続き、被災地のニーズを把握しながら、本市ができる支援を積極的に行ってまいります。

また、この度の地震から得られる教訓などを踏まえ、本市におきましても災害に強いまちづくりに、皆様とともに全力で取り組んでまいります。

まず、すべての人にやさしいまちづくりについてであります。

世の中が多様化する今、市民一人一人に対してきめ細かい政策を進めることが、これからのまちづくりでは特に求められます。すべての人にやさしいまちは、誰もが安心して住み続けられるまち、移り住みたいと思えるまちであり、それは持続可能な強いまちにもつながると考えます。

こどもに関しましては、こどもが自分らしく学び、安心して暮らすことができる環境づくりが重要であります。

特別支援学級や不登校の児童生徒数は令和元年度と比較して1.5倍以上に増加しております。このような状況を踏まえ、一人一人のこどもに応じた多様な学びをさらに支援するため、教育委員会に「多様な学び支援室」を新設いたします。

特別支援教育専門の職員を新たに配置し、担当教員の資質向上を図ることで、こどもたちの個別最適な学びにつなげるとともに、教育ソフトの導入により、一人一人に応じたきめ細かい教育に加えて、教員の業務効率化も進めてまいります。

また、不登校対策におきましては、校内学校支援センターを北方中学校に増設するとともに、学校生活支援員や訪問相談員を増員いたします。加えて、神村学園武雄校舎において、振り返り学習や体験学習を提供する「みんなの学校」が開始されることを受け、そこに通う中学生の通学支援を行うなど、学びの機会と選択肢を幅広く提供し、どんな状況であっても自分らしく学ぶことができる環境を整備いたします。

医療的ケア児に関しましては、医療的ケア児が安心して通園できるよう、保育所等に看護師を配置し、安心して保育できる環境をつくります。さらに、避難所に医療機器運搬用台車やサーキュレーターを配備するなど、医療的ケア児やその家族が安心して避難できる環境の充実も図ってまいります。

また、ヤングケアラーゼロを目指した取り組みとしまして、県内で初めてとなる、こどもに特化したSNS相談窓口を新設するとともに、ヤングケアラーサポーター制度を創設いたします。
様々な相談に対して、ヤングケアラー支援チームやサポーターと連携し、相談だけで終わらない、一人一人に応じた課題解決や具体的な支援につなげてまいります。

近年、子育て支援センターの男性利用が増加していることから、子育て中の父親たちによる「楽しい子育て倶楽部」を創設し、男性のさらなる育児参画を推進いたします。父親が楽しく子育てできるまちづくり、みんなが楽しく子育てできるまちづくりをさらに進め、子育て世代の移住定住にもつなげてまいります。

高齢者支援におきましては、地域福祉支援員(コミュニティソーシャルワーカー)を新たに配置し、アウトリーチ型の訪問相談や、相談者と民生委員や関係機関等との仲介を行うなど、暮らしの中での困りごとへの相談・支援を強化してまいります。
また、地域包括拠点施設におきまして、シルバーeスポーツ教室を月1回開催し、介護予防はもとより、こどもとの多世代交流にもつなげてまいります。

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エネルギーや食料品価格の高騰が続く中におきましても、安心して暮らせることが重要であります。

本年4月から学校給食費の改定を行う中、激変緩和措置として給食費増額分の半額を補助し、保護者負担の軽減を図るとともに、安全安心な学校給食の提供を維持してまいります。

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また、市民生活におきましても物価高騰の影響を受けていることにかんがみ、市民1人当たり2000円を給付することで、家計への負担を軽減し、安心して暮らすことができる環境をつくってまいります。

一人一人に応じたきめ細かい支援を充実させることで、だれ一人取り残さない、すべての人にやさしいまちを実現してまいります。

安心して住み続けられるまちづくりについてであります。

大雨による被害を二度と起こさないため、治水対策については、昨年より今年、今年より来年と毎年着実に前に進めることが重要であります。

六角川の特定都市河川指定を受け、国県を含めた流域水害対策協議会におきましては、水害常襲地区である橘町、朝日町、北方町を重点整備地区と定めるとともに、地区ごとに最大貯留対策必要量や調整池整備の必要性などが先般示されました。今後は、国県や関係機関と引き続き連携し、対策の具体化を図ってまいります。

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これまで、本市における治水対策は、雨水を「ためる」、「ながす」、「おくる」ことに取り組んでまいりましたが、次年度は特に雨水を「ためる」対策の強化を行います。永島地区の遊水公園整備や小中学校への雨水貯留タンク設置などとともに、学校グラウンドなどの公共施設等における内水調整池整備の可能性について調査を行い、今後の整備につなげてまいります。雨水をためる場所を増やすことで、まち全体で「ためる」意識を高めるとともに、浸水被害のさらなる軽減を図ってまいります。

今後も国県等と連携した治水対策だけでなく、市が独自にできる治水対策も着実に進めることで、住み慣れた場所にこれからも住み続けることができ、誰もが安心して暮らせるまちをつくってまいります。

また、能登半島地震では、地震の影響で水道管等が被害を受けたため、避難所等でトイレが使えない状況であったことを踏まえ、本市における携帯トイレ等の防災備蓄品を目標数量まで確保するなど、防災体制を強化してまいります。

次に、行政サービスの更なる向上についてであります。

市民生活の向上のためには、行政サービスへのデジタル技術の活用が重要であります。

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令和3年12月から開始したコンビニ証明書交付サービスは、待たずに、書かずに、お得に証明書を取得できるため、年々利用者が増え、本年1月には市民課窓口に多機能端末を設置したこともあり、利用者がさらに増加しております。そこで、本年7月から1年間限定で交付手数料を100円に大幅に値下げし、さらなる利用促進を図るとともに、窓口業務の充実につなげてまいります。

デジタル技術を、私たちの暮らしの様々な場面で活用することで、市民の満足度や利便性の向上に加え、行政事務の効率化も実現してまいります。

あるものを活かしたまちづくりについてであります。

武雄の魅力ある歴史や文化に加え、西九州新幹線による交通の利便性の高さを、まちの活性化にさらにつなげていくことが重要であります。

現在、インバウンドを含む観光の志向が、買い物などの消費型から、自然や文化・歴史を楽しむ体験型に変わりつつあります。
そこで、武雄の歴史や文化を観光資源として活用し、西九州新幹線でつながる長崎とも広域連携したモニターツアーを実施いたします。観光客から武雄を滞在先として選んでいただけるよう、西日本や九州への誘客を目指す、いわゆる西のゴールデンルートも意識した商品化につなげてまいります。

また、武雄鍋島家洋学関係資料が国の重要文化財に指定されて10周年を迎えるにあたり、「武雄の蘭学」をテーマとした企画展を8月に開催し、武雄とつながりの深いオランダに関連する展示やイベントも併せて行う予定です。

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市内だけではなく、広域連携の取り組みも進めながら、国内外に武雄の魅力を積極的にPRし、さらなる交流人口の増加を目指すとともに、皆様が武雄の文化に触れる機会を増やすことで、市民の誇りの醸成にもつなげてまいります。

また、ゼロカーボンの取り組みをさらに進めることで、資源を有効活用し、持続可能な循環型社会の実現を目指すことが重要であります。

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コンポストや電動生ごみ処理機等の購入を支援し、生ごみの減量、堆肥化・再資源化を推進するとともに、森林環境譲与税を活用して、林業の新規雇用者育成を支援し、森林環境の保全や担い手の確保にも努めてまいります。
また、畜産業において高品質な和牛生産体制を構築するため、優良種雄牛精液導入にかかる費用を軽減し、畜産農家の所得向上を目指してまいります。

さいごになります。

本年はSAGA2024国スポ・全障スポが開催されます。競技、運営ボランティアや花スポなどの取り組みを、市民の皆様のスポーツへの関心だけでなく、大会後の地域づくりや絆の醸成にもつなげていきたいと考えております。

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また、2月27日に学校法人旭学園より、武雄アジア大学の基本構想が発表され、本市においても大学設置に関する支援の考え方をお示しいたしました。
武雄アジア大学の開学は、こどもたちの夢の実現に向けて選択肢を広げるだけでなく、リカレント教育など市民の皆様に学びの機会を増やすとともに、大学が「知の拠点」として地域社会のインフラになることで、地域で活躍する人材の育成や地元定着、地域課題の解決など、地域や産業の活性化にも大きく寄与するものと確信しております。

これからも、市民の命と暮らしを守ることを最優先に、だれ一人取り残さないやさしいまちの実現を目指すとともに、あるものを活かしてさらに伸ばし、このまちの未来を切り開く政策に全力で取り組んでまいりますので、議員各位のご理解・ご協力を切にお願い申し上げまして、私の提案事項説明とさせていただきます。

本議会もどうぞよろしくお願い申し上げます。