市長提案事項説明要旨

おはようございます。

武雄市議会定例会の開会にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

令和3年8月11日からの大雨による災害についてであります。

令和元年豪雨災害からもうすぐ2年を迎えようとする中、九州北部では8月11日からの降水量が1,000ミリを超え、1週間にも満たない期間に年間雨量の半分に達する地域も出るなど、記録的な大雨となり、8月14日、本市においても2年前の災害を上回る規模の甚大な災害が発生いたしました。

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この度の災害により被災されたすべての皆様に対しまして、心からお見舞い申し上げます。なお、今回の災害で人的被害がなかったことは、事前に避難していただくなど市民の皆様の防災意識の高さの表れであり、さらには消防、消防団、警察、自衛隊等の関係機関の皆様による迅速な人命救助のお陰であります。心から感謝申し上げます。

議員の皆様におかれましても、発災以降、あらゆるところで、市民の生命や財産を守る活動にご尽力いただき、深く感謝申し上げます。また、このような状況に鑑み、本議会において、災害対応最優先という考えのもと、会期日程に御配慮をいただきましたことに対しましても重ねて感謝申し上げます。皆様のお気持ちに応えられるよう災害対応に全力で取り組んでまいりますので、引き続きのお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

本市では、11日昼前の大雨洪水警報の発表と同時に災害情報連絡室を設置し、同日夕方には全町の指定避難所を開設。翌12日未明には土砂災害警戒情報が発表されたことにより本部体制を災害警戒本部に移行し、順次各町へ避難指示を発令しながら、市民の皆様の安全確保に努めてまいりました。14日未明には、大雨特別警報が発表されたため、災害対策本部へ移行し、市内全域に緊急安全確保を発令いたしました。

令和元年8月豪雨災害時と比較し、今回の豪雨は、降雨の期間が7日間と長かったことにより、総雨量が市内で最大1,300mmにも達しました。そのことにより、14日には、支流の水を六角川に排水するポンプを計3回、約8時間50分という長時間に渡り停止せざるを得ず、その結果、内水氾濫の範囲や浸水高が令和元年8月豪雨災害時を上回りました。浸水による被害は、現在把握しているだけでも家屋で床上浸水1,273戸、床下浸水390戸の計1,663戸と前回を超える規模であり、未だ避難所での生活を余儀なくされている方も多くいらっしゃいます。また、農地、農業用施設、道路、河川、土砂崩れなど災害箇所は市内各地で550カ所を超え、現在でも地滑りなどに最大限の警戒を行っているところです。

災害対策本部においては、警察署、消防署、消防団、自衛隊等の関係機関と連携を取りながら、情報収集と今後の対応について協議し、被災個所の速やかな復旧と被災された方々への救助活動を全力で実施してまいりました。特に小池団長を中心とした消防団の皆様におかれましては、ご自分の周辺も心配される中、発災当初から昼夜を問わず対応いただき、深く感謝申し上げます。

発災直後の2日間は、人命救助と安否確認を第一に活動を行い、発災3日目となる8月16日には、災害ごみの仮置き場への受け入れを開始し、復旧のプロセスへと入りました。その後も、浸水被害を受けた方を対象に、上下水道使用料の3か月分全額免除やし尿汲み取り手数料の3か月分助成など、被災された方への支援策を打ち出してまいりました。続けて、消毒液の配布、被災された高齢者・障がいがある方への入浴支援、ボランティアセンターの立ち上げなど、様々な支援を開始しました。8月20日には、被災された皆様の1日も早い復旧復興を支援するために復興支援室を設置し、ワンストップの総合相談窓口と相談専門ダイヤルを開設するなど、前回の豪雨災害時の経験を活かしながら、スピード感を持って取り組んでまいりました。また、罹災証明書の申請受付も8月18日に開始し、被災された方々も前回の災害時より速いペースで申請されています。今後、現地調査を経て罹災証明書を発行した後は、その罹災状況に応じて、被災住宅の応急修理や災害見舞金の支給など、生活再建に向け様々な支援を行ってまいります。

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今回の災害においても、多くの事業者様などから物資の提供など様々な形で、心温まるご支援をいただいており、加えて災害協定を締結している自治体や近隣市町など多くの自治体や数多くの皆様から人的、物的支援やお見舞いのメッセージをいただいております。この場をお借りしまして、皆様に心から感謝申し上げます。

また、武雄市災害ボランティアセンターにおいて、8月21日からボランティア活動を開始し、これまでに、延べ800人を超える方々にご尽力いただき、大変ありがたく思っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を踏まえ、ボランティアの募集範囲を佐賀県内在住者としたことなどにより、前回の災害時と比べるとボランティアの方の数が少なく、人手が足りていない状況です。一人でも多くの県民や市民の皆様へ参加を呼び掛け、お互いに助け合いながら、少しでも被災された方の復旧の支えになることを願っています。

私自身、発災以降、時間が許す限り、被災現場を見て回り、状況を確認してきました。今回の災害におきましては、2年で2回の災害という苦しみの大きさに加え、被災された方によって復旧のスピードに差があることを感じております。復旧が早い方に合わせて支援策を迅速に打ち出していくとともに、思うように復旧が進まない方につきましてもボランティアや関係機関と連携し、復旧を後押ししてまいります。

災害ごみの仮置き場には、水に浸かったまだ新しい家電製品が数多く出されていました。2年前の災害から、多くの苦難を乗り越えて復旧された矢先に同じような災害を受けられた被災者の苦しみと悲しみの重みは計り知れません。これだけの規模の災害が、同じ場所で、2年で2回も起こる地域は全国的にもありません。この事実をしっかりと受け止め、被災者への支援の大幅な強化と抜本的かつスピードある治水対策を国に対して強く求めてまいります。被災された方の中には、今のまま住み続けるべきかどうか悩んでいる方も多くおられます。また、被災された事業者からは、廃業をせざるを得ないという声も聞かれます。人あってのまち、にぎわいあってのまちです。国に支援を求めるのはもちろんですが、私たち自身も、これからもこのまちに住み続けられるような住まいに対する支援や、2年で2回の被害を受けられた事業者の皆様の再建を強く後押しするような支援を新たに考えてまいります。

また、昨日、武雄市に対して、国より激甚災害が指定され、農林災害や中小企業の資金調達への特例措置が適用される見込みがあることが発表されました。2年で2回の災害の苦しみをしっかりと国に伝え、議会の皆様と一緒になって激甚災害のさらなる適用の拡大を求めてまいります。

なお、今後の支援や復旧等に関する災害関連予算につきましては、本定例会に追加で議案を提出する予定でありますので、よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

2年前の災害以降、「創造的復興プラン」のもと「災害に強いまちづくり」を目指し、各種事業を実施してまいりました。その「創造的復興」の半ばで起きた今回の災害。被災された方の苦しみや痛みに寄り添いながら、最後の一人まで目を向けて、一日も早い復旧と生活再建、そして本当の意味で安心して暮らせる、そして未来につながる復興のまちづくりに全力で取り組んでまいります。

次に、新型コロナウイルス感染防止対策についてであります。

依然として新型コロナウイルス感染が全国で拡大しています。佐賀県では、8月18日から9月12日までの間、「医療を守るための非常警戒措置」が実施されており、さらに8月27日には、佐賀県に「まん延防止等重点措置」が適用されました。武雄市においてもクラスターが発生するなど新規陽性者数が増加しており、引き続き十分な感染防止対策が必要です。

そこで、不特定多数の方が利用する可能性が高い公共施設を中心に、感染防止のさらなる徹底を図ります。市内の公共施設のうち自動水洗化を行っていない公民館やスポーツ施設などのトイレの手洗い場を非接触型へ改修するとともに、眉山キャンプ場や山内武道館、サンスポーツランド北方のトイレを、飛沫拡散防止に一定の効果があるとされる蓋のある洋式トイレに改修いたします。

これにより、感染リスクを低減し、清潔で利用者が安心して施設を利用できる環境を整備いたします。

ここにきて、子どもの感染が増えてきています。学校においては、これまで以上に、検温の記録と報告など家庭との連携を強化するとともに、換気・消毒・手洗いなどの基本的な感染症対策を徹底いたします。

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また、子どもたちに陽性者が確認された場合には、必要に応じて市が備蓄している抗原検査キットを活用した検査を実施いたします。さらに、積極的にオンライン授業へ切り替え、子どもたちの感染リスクや保護者の不安を低減させながら、子どもたちの学びを止めない環境を整えてまいります。

今後も、市民の命と暮らしを守るため、コロナ対策に全力で取り組んでまいりますので、市民の皆様におかれましても、引き続き一人一人の感染防止の徹底をよろしくお願い申し上げます。

通学路の交通安全対策についてであります。

本年6月に千葉県八街市で登校中の児童が車に巻き込まれるという大変痛ましい交通事故が起きました。通学路の交通安全対策は最重要事項であり、市内スクールゾーン及び通学路の危険個所を再点検するとともに、早急に対応を必要とする通学路について、整備を行います。

本市の方針として「通学路の危険個所ゼロ」を掲げ、すべての危険個所の解消を目指し、通学時の子どもたちの安全を守ります。交差点への車止めやガードパイプの設置、区画線の設置やカラー舗装、横断歩道の新設などを行ってまいります。

まずは、緊急性の高い個所から整備を実施し、一日でも早く武雄市の通学路の危険個所をゼロにしてまいります。

以上、市民の皆様が安心して暮らすことができるまちを目指し、各種政策に全力で取り組んでまいりますので、議員各位の御理解・御協力を切にお願い申し上げ、私の提案事項説明とさせていただきます。本議会もどうぞよろしくお願い申し上げます。