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陶磁器のルーツを求めて 本を通して先人の声を聴く
#武雄人の本棚
古書店で手に入れた貴重な本。
本好きのうち、その本の復刻版出版に関わることができる人は、いったいどれくらいいるのでしょうか。
佐賀県立九州陶磁文化館の館長を務める鈴田由紀夫さんは、そんな奇跡的な出会いをしたひとりです。
焼き物好きな父親の影響を受け、大学で有田焼を研究していた鈴田さん。
図書館で使っていた『肥前陶磁史考』をどうしても手元に置きたいと、神保町の古書店まで足を延ばしました。
九州陶磁文化館のオープンスタッフとして就職して5年後、偶然『肥前陶磁史考』を復刻する話が舞い込み、当時いち学芸員として携わることとなった鈴田さん。
「著者の方が実際に先人に話を聞いて本を書いているので、読書を通じて、当時の声を聞いているようなんです」とその柔らかな笑顔で語って下さいました。
40年を経て館長となった今も、手にとっては本を開いているそう。
武雄市図書館にも所蔵されている復刻版の表紙を開けば、そこには「鈴田由紀夫監修」の文字がしっかりと刻まれています。
この記事は、武雄市図書館公式インスタグラムで連載中の「武雄で、本に出会う物語」と連動してお届けしています。
出会った書籍
- 中島 浩氣著『肥前陶磁史考』青潮社